サッカーボールの検定について
サッカーボールの検定にはFIFA Approved、FIFA Inspected、JFA検定球などがあります。
まずはこのFIFAの基準について解説します。
FIFAの基準
FIFAのボール用検定にはFIFA APPROVEDとFIFA INSPECTEDの2種類が有り、FIFA APPROVEDはFIFA最高レベルに適する最高品質のボール。FIFA INSPECTEDは競技レベルの試合・練習に適するボールとされています。さらに、具体的にはFIFA APPROVEDは国際試合・トップリーグレベルに適したボール。FIFA INSPECTEDは国代表の練習・試合レベルなどとされています。
これらの検定を取るためには、FIFAが委託したテスト機関EMPAで以下の表に示す品質テストをクリアしなければなりません。また、FIFA APPROVEDでは4,400スイスフラン、FIFA INSPECTEDでは3,300スイスフランのテスト受験料金を納める必要があります。
FIFA APPROVED | FIFA INSPECTED | 備考 | |
---|---|---|---|
ボールサイズテスト | 68.5 - 69.5 cm | 68.0 - 70.0 cm | 0.8 barにて |
球度テスト | 差異最大1.5% | 差異最大1.8% | 0.8 barにて |
リバウンドテスト |
20℃にて |
20℃にて |
0.8 barにて2mの高さからスチール製の床に10回落下させ測定 |
水分吸収テスト |
平均重量増10% |
平均重量増15% |
0.8barにて2cmの深さの水槽に250回ボールを突く
|
重量テスト | 420 - 445 g | 410- 450 g | 0.8 barにて |
空気漏れテスト | 最大20%空気量減 | 最大25%空気量減 | 1.0barにて72時間放置 |
形状サイズ維持テスト |
大きさ変化
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規定なし | 0.8barにて2.5mの距離から50km/hのシュートを繰り返す |
FIFAのサイトに詳しくは載っています。
FIFAのクオリティーコントロールについては上の動画に詳しいです。(Youtubeにジャンプしてご覧下さい)
このように、FIFA APPROVEDの認定を得るには厳しいテストに通過しなければなりません。
これらのテストを通過すると、以下のような認定証が発行され、FIFAのマークをプリントすることが許可されます。
このライセンスもタダではなく、ロイヤリティとしてボール1個の販売当たり、FIFA APPROVEDでは1.5スイスフラン、FIFA INSPECTEDでは0.75スイスフランをFIFAに支払う必要が生じます。このように、FIFAライセンス取得ボールにはにはボール原価もさることながら厳しいテストやロイヤリティ契約なども生じ、当然値段も高いボールになります。
以下にそれぞれのロゴを示します。
左二つがFIFA APPROVED、右二つがFIFA INSPECTEDとなります。
FIFA QUALITYの文字が含まれているものが新ロゴ、含まれていないものが旧ロゴです。
自分のボールの表面をみて、下の写真のようにFIFA APPROVEDなどFIFAロゴがあればテストを通過した高品質の球と言うことになります。
JFA(日本サッカー協会)の基準
もう一つ日本独自の検定として日本サッカー協会が行う、JFA検定球というものがあります。JFAが主催する試合ではこの検定に通ったものでなければなりません。Jリーグなどで使用されるボールはすべてこの検定を通過したものです。ちなみに、国際試合などでJFA検定を取得している必要はありません。
JFAの検定基準は上記のFIFA検定基準に比べ緩いもので、FIFA検定を通過しているボールはJFAの検定試験が免除されます。
JFA検定の基準は以下の通りです。
JFA検定球(5号球の場合) | |
---|---|
重量 | 410-450g |
外周 | 68.0-70.0cm |
球形度・丸さ | 22.0cm |
空気圧の損失 | 25%以下 |
※ミシン縫いのボールは対象外
この基準の他、サッカー競技規則に定める規格に合致していることと、競技に使用して著しく変形しないものである必要があります。
また、JFAの面白いテストとして、JFA選定チーム(大学・社会人チームなど)にボールを15球貸し出しアンケート調査を行い問題がなかったかを調査するというテストもあります。
申請費用は700,000円、検定マーク使用ロイヤリティとして年間150,000,円を支払う必要があります。さらに販売1球ごとに30円をロイヤリティとしてJFAに支払う必要があります。
これらの検定が済むと、以下のように検定マークをもらうことができます。
こんな検定も
有名な検定として、もう一つIMSというものがあります。これはInternational Matchball Standardの略で国際マッチボールスタンダードと訳されます。
現在はFIFA基準が明確にできてしまったため、あまり用いられることはありませんが、過去にイングランド中心に用いられていた経緯があります。
現在の検定基準は上記FIFA INSPECTEDに準じたものです。
これをパスすると、以下の写真のようなIMS適合であると表示できます。